いしだまりこのやぼう

面倒くさい思索の備忘

ボーはおそれている

ホアキーン!

映画『ボーはおそれている』公式サイト|絶賛上映中

観てきましたよ、たっぷり3時間。私のケツはマゾじゃあない。だがしかし、観てきたんだよ。

*今回は言いたいことが多すぎて、多分にネタバレを含みます

場面が主に4つあるので、4セクションに分けて感想を書きます。

ゴッサムアパート編

まずはカウンセリングから。ホアキンが割と懸命に話しているのに、医者がメモったのは【罪悪感】くらいなもんで、もちっと真面目に仕事しろやと。でも私はこの【罪悪感】がボーを動かす原動力というか唯一の指針で、最後まで罪悪感だけに突き動かされてたのかなあと思うわけです。

ところで映画は違うのにゴッサムシティに住んでいるんだ、ホアキンよ。世紀末な治安の街のアパートの中はそこそこキレイで、ボーの性格が窺える。精神的な病で街のならずものにアパートに入られた幻覚を見てるのかな?と思ったら本当に入られてたし。この辺でもう顔はモルカーのオドロキ顔である。

そこからは怒涛の裸芸。ホアキンが惜しみなく中年後半の体で体当たり演技!だが車に体当たりしてはいけない! 当たった瞬間よりすっ転がってくシーンのがなんか心にきました。

変なファミリー編

優しすぎるやつは大体怪しい。怪しすぎる家に軟禁? されてしまうボーさん。部屋の内装も助けてくれた人の職業(外科医)も、着せられた名前入りのパジャマも何もかもが怪しい。だってこんなエグゼクティブな人があんなゴッサムシティを車移動してるはずないと思うんだ。

その後この家の同居人(娘と息子の病んでる戦友)が現れるわけだが、こちらもだいぶあたおか。そろそろ事情がわからなくなってきて、ホアキンも観客もポカーンとなってくる。

ここでママの弁護士に早く来いやとせっつかれる。ママ、なんか立場のある人なのかなと。だから息子がニートしていられたんだなと少し背景が見えてくる。実家前でのインタビューをネットで見て吹き出すのごとく吐くホアキンさん。ストレスで吐くってそんなに勢いよくいくんだ⁉︎

なんだかんだ娘にハメられて、豹変したママが放った刺客から逃走しつつ次のシーンへ。

森の劇団編

こういう自然崇拝系のカルトっぽい旅芸人、本当にいそうなんよね。ここは主にお芝居パートなんだけど、前のシーンよりはわかりやすいというか、お芝居の世界に溶け込んでしまって、自他の区別が曖昧になってるのねと観客がわかる程度のわかりやすさ。現実に戻るきっかけでちょっとワロタ。

でもお芝居のお話のちゃんとした続きは気になるところ。ここでようやく気持ち悪いパジャマとお別れですよ。

乱入してきた前シーンからの刺客にめちゃめちゃにされて、次のシーンへ。てか旅芸人が普通に銃を用意してて驚いた。

実家編

実家に着いたら葬儀終わってんの。あれ? 来るまで始めないんじゃなかったの?

ゴージャスな実家。なんか吹き抜けとか普通に墜落しそうな作りになってたけど、そこでは何も起きなかったよ。

色目を使ってきた元従業員、あからさまに家を乗っ取ろうとしてるのに気づかないボー。だめだ!そいつは毒婦だー!

そしてカーチャン登場からの怒涛のネタばらし。しかしあまりにもあんまりすぎて、ボーの感情の持って行き方がまるで想像がつかない。

話の流れから屋根裏部屋を確認することになるが、繋がれて痩せたホアキンがいたー!ってなってからまさかのチン●怪獣!(玉付き)口があんぐりだ! そこへ乱入する森の刺客!戦う二大怪獣!うわあああ!

とまあ、口が閉じられない展開で頭がフットーしたところで話は終幕に流れていくわけですが……。

あたまがおかしくなりそうだ

尻を痛めつけながら、痛めつけられるホアキンを見つめ、そしてホアキンが救われないわけです。せつない。

救われるべきだったかどうかはわからないけれど、救われないだけの罪ってなかったと思うんだよね。キリスト教的にはだめだだったのかな。

カーチャンの首を絞めてしまったけれど、カウンセラーは「殺意と愛は矛盾しない」的なフォローを入れてくれなくて、こいつ黒幕なんかなあ、と。

色々考えちゃって、観ていた時間以外にも楽しめたので良かったです。